いたりあ２
〜前回のあらすじ〜
時は皇紀二六七一年の春
私ことwaraoyoは
暇なので何となくイタリアに来てみたが、
早速インド人と間違えられてしまう。
イタリア語も全く理解できないので
意味の分からない空耳しか聞こえず、
お先真っ暗な感じで安いホテルの床に着いたのであった・・・。
「パレルモ」
シチリア島でも最大の都市。
国境を越えたのは昨日であるが、「イタリアの都市をこの足で歩く」
という意味においては、これが本当の旅の初日になる。
朝靄がかった海を背に、手にしたガイドブックにはこう書いてある。
・・・と、現地の人々は語るのだと。
街には宮殿・教会・美術館など、
古くからある建造物がいくつも見られる。
面白いのは、それらの建築様式がばらばらであることだ。
イスラム、ノルマン、イタリアと、何度もの支配者の交代とともに、
長い歴史を紡いできたこの街ならではの景観だろう。
パレルモは古都といえば古都だが、それだけではない。
高級感のある店やホテルが建ち並ぶ、近代的なショッピングストリートもある。
そして、奈落の底に通じているような暗い、暗い小路も・・・。
そこに存在している世界の全てが特異、目に映るもの全てが興味の対象となる。
そう語られるだけの魅力のある街なのかも知れないと思った。
・・・やはり旅は良い。
もちろん折角遠くまで来たのだから、建物の外観だけ見ていては勿体無い。
入場可能な建築物には、手当たり次第入ってみる。
途中名所の王宮で、小学校の遠足中と思しき一団と出くわした。
黒い目をした私に気付いた子供は、その誰もがこちらを二度見してきた。
やがて彼らはこちらへ近づき、言葉を投げようとしている雰囲気を察知したが、
いかんせんイタリア語が分からないので、私は不器用に目を逸らす。
だが、周囲には観光客も少なく、東洋人は私しかいない。
そこにいる人間で唯一の例外なのだ。兎に角目立つ。
すぐに子供達はこの「変なヤツ」に気が付き、あっという間に周囲を囲まれてしまった。
やんちゃそうな男の子と目が合い、そして何かを話しかけてきた。
私は、ぎこちない無言の笑顔で返す。
その男の子に続き堰を切ったかのように、他の子供達が言葉の嵐をぶつけてきた。
英語も使える子供もいるらしく、断片的にのみ聞き取れる単語がある。
「インディア？」「チャイナ？」「ウェアアーユーフロム？」
（なるほど、国籍のことか・・・）
そして答えた。
ジャポネーゼ。」
子供達はざわつき、お互いに目を見合わせ、また話しかけてくる。
「ツナミ、インフェルノ、フクシマ・・・」
どうやら、３．１１の東北大震災のことを知っているようだった。
そしておそらくは、
今回の3.11被害における被害の実情を、真摯に聞きたがっているのだろう。
もちろん、私もその問いに答えたい。
伝えるための言葉を知らないことが、ただ歯がゆかった。
・・・やがてその長い一日は暮れた。
「日本に帰るまでには、少しくらいイタリア語が出来るようになりたいな。」
そんな思いを胸に翌朝、次の街に向かうべく始発の鉄道に乗り込んだ。
ここから先は、イタリアの沿岸都市を旅してゆくことになる。
しかし、この続きはまたの機会があれば・・・。
ウィー、お疲れ様です。
お付き合いいただき有難う御座いました。
前回ブログに引き続き、しつこくイタリアの話でしたが、
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